親が施設に入所した後の家を売却する方法は?②

前回、【親が施設に入所した後の家を売却する方法は?①】では親が高齢者施設へ入所した後に空家になった実家をどうするか選択肢のお話をしました。

今回はその続き【施設に入所した親の家を売却した場合の税金】についてお話します。

 

施設に入った親の家を売却する際にも、通常の不動産売却と同様に譲渡所得税がかかります。

ここでは、実際にどのような税金がかかるのか、また適用できる特例について解説します。

●売却後に課せられる税金

親の家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、以下の税金が課される可能性があります。

  • 所得税(復興特別所得税)
  • 住民税

譲渡所得とは、「売却価格  – ( 購入価格 + 諸経費 )」で計算される利益のことです。売却価格が高くても、購入時の金額やリフォーム費、仲介手数料などを差し引いた結果、利益が出ていなければ課税対象にはなりません。

なお、所有期間によって税率は変わります。

 

区分 所得税 住民税 復興特別所得税 合計
長期譲渡所得(5年超) 15% 5% 0.315% 20.315%
短期譲渡所得(5年以下) 30% 9% 0.63% 39.63%

 

●親の家でも適用できる特例

親の家であっても、条件を満たせば「居住用財産の3,000万円特別控除」が使える場合があります。これは、不動産売却時の譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる制度です。

適用条件の例

  • 売却する不動産が「親の居住用」として使われていたこと
  • 親が介護施設等に入所した後も、住宅を他人に貸していないこと
  • 親または相続人が売却を行うこと

 

●施設に入った親の家は、相続してから売却するのとどちらが得か

「売ってからお金を受け取る」か、「相続してから売ってお金を得る」かで、お金の相続性と税負担の仕組みが異なります。

判断のポイントとしては、以下のとおりです。

  • 生前に売却しておけば、不動産ではなく現金として相続でき、分割がしやすくなる
  • 一方、売却価格や譲渡所得税の負担が重くなる場合や、意思能力を失っていると成年後見制度が必要になる
  • 相続後に売る場合は、遺産分割の難しさ(共有名義、トラブルなど)がネックになりがち

つまり、単に「税金の安さ」や「売却しやすさ」だけでなく、将来の相続トラブル回避や分けやすさを基準に考えると、生前での売却・現金化は有効な選択肢です。

特に「家族間で公平に分けたい」「相続で揉めたくない」場合は、不動産のまま相続させるより、早めに売っておくほうがリスクが小さいと言えるでしょう。

高齢者と家族のイラスト

●施設に入った親の家を売却した場合の住民票の扱い

施設に入所した親の家を売却する際、「住民票を移しているかどうか」によって、固定資産税の特例措置や、居住用財産の売却に関する特例の適用に影響を及ぼすケースがあります。

 ・固定資産税・特例措置との関係

小規模宅地等の特例 土地の固定資産税評価額が最大1/6に軽減される(※小規模住宅用地部分)
新築住宅に係る税額の減額措置 家屋の固定資産税が1/2になる(新築後3年間など)

 

これらの特例は、「その家に居住していること」が条件とされています。そのため、住民票を施設に移すと、「居住していない」と判断され、軽減措置が解除される可能性があります。

ただし、実務上は「一時的に施設へ入所しているだけ」と判断されれば、住民票を移していても特例が継続される場合もあります。(自治体によって判断が分かれるため、事前に確認が必要です。)

●住所変更が売却に与える影響

不動産売却そのものには、「住民票の所在地」が必須ではありません。つまり、住民票が実家に残っていなくても、売却は可能です。

ただし、住民票を施設に移したことで「居住実態がない」と見なされると、売却後の3,000万円特例の対象外になることがある点には要注意です。

 

売って良かった点や後悔迷いが残った点がある方もいますので紹介します。

・1つは、県外に住んでいたため、親の家の草刈りや郵便物の確認が負担になっていた方の話です。売却によって精神的にも金銭的にも負担が減り、「もっと早く決断すればよかった」と振り返っていました。

・親が入居している施設の費用を長期的に見通す必要があったという方は、「売却代金で一部を前納できたことで、家族も安心して過ごせるようになった」と話していました。

・ほかのご兄弟から「思い出のある家だから手放したくない」と反発され、関係にヒビが入ったケースもあります。売却に踏み切る前に家族間での話し合いが非常に重要です。

・早く現金化したい一心で売却を即決し、「近隣でより高く売れた事例を後から知って後悔した」というようなことを話していました。

 

親が入所した後の実家の扱いには、売却・賃貸・解体などさまざまな選択肢があります。

遠くに売却を選ぶ場合は、名義・税金・家族間の同意など、多くの手続きや調整が必要です。

今後の関係性を良く保つためにもしっかりと家族間で話し合い、スムーズかつ後悔のない皆さんが納得される選択ができることを願います。

 

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